ランタイムと IDE の分離

PowerBuilder IDEは、システムオプションで複数のランタイムバージョン(マイナーとメジャー両方)をコンパイルできるようになりました。これにより、1つのIDEでランタイムバージョンの異なる複数プロジェクトのネイティブアプリケーションの開発作業が行えます。またランタイムのロールバックも簡単で、ランタイムへの影響を考えることなく常に最新のIDE機能を使うことができます。

ランタイムと IDE が分離されたことにより、PowerBuilder IDE は、同じバージョンまたは以前のバージョンの PowerBuilder ランタイムと連携可能です。またランタイムと IDE を別々にインストール / アップグレードすることができます。

【サポートされるランタイム(予定)】

IDE (MR含む) サポートされるランタイム (MR含む) 非サポートランタイム
2019 R3 2019 R3 2021以降
2021 2019 R3, 2021 2022以降
2022 2019 R3, 2021, 2022 2022 R2以降
2022 R2 2019 R3, 2021, 2022, 2022 R2 2022 R3以降
2022 R3 2019 R3, 2021, 2022, 2022 R2, 2022 R3 2023以降

 


【特徴】

・複数のマイナー&メジャーランタイムバージョンに対応したコンパイル

・複数のマイナー&メジャーランタイムバージョンに対応したデバッグ

・ORCAScriptおよびPBコンパイラとの互換性

・不一致を防ぐランタイムバージョンチェック

RibbonBar Control

 


【活用例】

従来、PowerBuilder IDEを利用してアプリケーション開発を行う場合、同一端末内に複数バージョンのPowerBuilder IDEをインストールすることはサポートされていませんでした。 さらに同一バージョン内でも数回リリースされるMR(メンテナンスリリース)などを適用した場合には適用したMRのランタイムのみしか利用することができませんでした。

このことにより、PowerBuilder 2017以前のバージョンを利用していた場合に、例えばA部門のアプリケーションはランタイムのバージョンがXXXXで開発、B部門のアプリケーションはランタイムのバージョンがZZZZで開発されていた場合、同一端末には1つのランタイムしか管理できなかったため、最低でも2台の端末を用意した上でそれぞれ別のランタイム用のIDEを管理する必要がありました。

同様に、バグ修正などが行われた際にMRを適用したが、やはり前のランタイムを利用したいと考えた場合は、一度IDEをアンインストールした上で再インストールし、対象のバージョン(ビルド)になるようにMRを再適用する必要がありましたが、PowerBuilder 2019 R3では、IDEとランタイムが分離されたことでこのような悩みが一気に解消します。 利用したい複数のランタイムをあらかじめ同一端末にインストールしておけば、以降はオプションにより切り替えることができるためA部門向けのアプリケーションではランタイムのバージョンをXXXXに、B部門向けのアプリケーションではZZZZに切り替えるだけで、同一端末内で開発/保守することが可能です。

さらにこの機能は将来的には、複数のメジャーバージョンを切り替えることも可能となる予定で、これにより別のバージョン(例:2019 R3、2022など)のIDEで開発されたアプリケーションをひとつのIDEで管理/実行して確認することができるようになります。 この機能の実装によりPowerBuilder開発者の開発効率、メンテナンス性が格段にアップします。

プレビュー(Flat Design Dark)

           従来の開発環境                  今後の開発環境

 


※ランタイムと IDE を分離するため、次の変更が行われています


・ランタイムファイル名の変更

ランタイムファイル名 (.dll、.ini、.pbx、.pbd など含む) が変更され、ファイル名に付加されていたバージョン番号インジケーター (“170”、“190” など) が削除されます。たとえば、pbvm190.dll は pbvm.dll に変更されました。

 

・ランタイムファイルのインストール先の変更

“Shared” フォルダーにインストールされていたすべてのランタイム DLL が、”Runtime[バージョン]” フォルダーと ”IDE” フォルダーに別々にインストールされるようになりました。

 

・使用するランタイムバージョンを指定するオプションの追加

システムオプションに使用するランタイムのバージョンを指定するためのオプションが追加されました。このオプションから IDE で使用するランタイムバージョンを切り替えることができます。

 


これまでランタイムとIDEが分離されていなかったことで、さまざまなバージョンのアプリケーションを管理するために専用端末の用意や製品の再インストール作業など、多くの労力が必要でした。

そんな煩わしさから解放され、今後のシステム開発、運用、保守の各フェーズで強力な武器となり得るPowerBuilder 2019 R3をぜひ、ご活用ください。

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