初心者令嬢の PowerBuilder 奮闘記 ~ PowerServer ってなんですの~

つい先日、 PowerBuilder デビューを果たした、お嬢様系若手社員の鉄久乃 レイラ(てくの れいら)さん。
『入門シリーズ』を見ながら初心者として PowerBuilder を勉強する日々を過ごしている彼女ですが、
今度は社内で聞こえてくる、とあるワードに戸惑っているようです・・・。

レイラ「PowerServer って・・・なんですの・・・ッ?!!
妙に名前似てますけど、PowerBuilder の生き別れの双子か何かですの・・・???」
なんだか随分とドラマチックな想像をしていますね・・・
先輩たちが話していた『PowerServer』についての話題。そもそも、まだ PowerServer 自体を知らなかった彼女は話について行けず、一人デスクで独自の妄想を繰り広げていたようです。

それでは、今回は・・・
『PowerServer』とはそもそも一体何なのか?初心者でもわかりやすいように簡単に解説していこうと思います。
PowerServer とは?
PowerServer とは何なのか?
実は、2024 年 7 月にリリースされた『PowerServer 2022 R3』バージョンから仕様が大きく変更されているので、順を追って説明をしていきたいと思います。
『PowerServer 2022 R3』バージョン以前の PowerServer
まず、『PowerServer 2022 R3』バージョン以前の PowerServer について・・・略して『旧 PowerServer』とでも言いましょうか。
旧 PowerServer は端的に言うと、 PowerBuilder で作ったアプリを Web 上で動かせるようにした製品のことです。
PowerBuilder のプログラミング言語である PowerScript を Java / Javascript に自動で内部変換する仕組みで、ユーザーの PC にソフトを入れなくてもブラウザ上でアプリを動かせたので、 PC 以外の端末からも PowerBuilder で作ったアプリを利用することができました。


レイラ「 ウヲオオオこれはめっちゃ便利ではなくて!!!?ゴイスーですわ!!!!」
はい。ただ、いくつか課題もありまして・・・。
PowerScript から JavaScript への変換にあたり、どうしても自動変換がうまくいかない箇所が一部で発生したり、PowerBuilder では使えるけど PowerServer では利用できない関数やイベントも存在しました。そのため、該当箇所については手作業による修正がどうしても必要なことも…。
また、アプリ全体が Web アプリに変換されているのでブラウザへの依存が大きくて、ブラウザごとに動作差異があったり、OS ごとにコンパイルの制限や仕様が異なり、バージョンアップの度に仕様変更が発生することも。修正対応に終わりがない…なんてこともありました。

レイラ「 ウッ…そ、それはちょっと厄介ですわね…」
PowerServer 2022 R3 バージョン
対して、2024 年 7 月にリリースされた『PowerServer 2022 R3』では仕様が大きく変更され、できることがちょっと変わっています。
こちらは端的に言うと、PowerBuilder で作ったアプリを Windows アプリとして動かせるようにした製品です。

レイラ「 ・・・・???えーと・・・
じゃあ、大きな違いは、動かせる場所が、Web じゃなくなった・・・ってコト?」
そこは大きな違いの 1 つになりますね。
では次の章で、『PowerServer 2022 R3』についてさらに詳しく説明していきましょう。
大きく生まれ変わった PowerServer 2022 R3
繰り返しになりますが、『PowerServer 2022 R3』は、 PowerBuilder で作ったアプリを、Windows アプリとして動かすような製品へ生まれ変わりました。
「それって…つまりどういうこと?」や、「他にも旧 PowerServer と比べてどんな部分が変わっているのか?」について、もう少し詳しく見ていきます。
まず、こちらのバージョンでは、JavaScript への変換は行われません。

レイラ「 あら?じゃあ今までのように Web 上で動かしたり、PC 以外の端末… iPad とか Android とかのブラウザから動かすことは・・・」
はい、基本的には出来なくなります。Windows オンリー!(ドンッ)

レイラ「 エエエ~?!使えなくなっちゃうんですの~?!」
まあまあ、ブラウザ使用が必須というわけでもなければ、そんなに悲観することではありません。
PowerBuilder と同じ Windows アプリとして動作する製品になったことで、旧 PowerServer で手を焼いていた挙動の差異も解消されました。
同時に PowerBuilder との互換性が超強くなったことで移行作業が削減できたり、PowerBuilder IDE 上でデバッグが可能になったことも嬉しいポイントの1つです。
他にも、web API サーバーを経由してデータベースにアクセスする仕様になっているので、ユーザーからは間接的なアクセスになる分、セキュリティ面も向上していたりと、改善点が多いのですよ。

『PowerServer 2022 R3』のアプリをクライアント端末で使う際の動きとしては、指定の URL を開くと PowerBuilder アプリのランチャーがインストールされて、それから PowerBuilder アプリが起動する仕組みになっています(初回利用時のみ)。
2 回目以降は URL を開く必要はありません。
PowerBuilder アプリの起動時に毎回更新のチェックが走り、更新があれば自動でインストールされ、その後アプリが開く仕組みです。


レイラ「ふーん…使い方はなんとなくわかりましたけど…これって具体的にはなにが良くなったんですの?」
このように、クライアント端末にクライアントソフト等をダウンロードする必要がなく、アプリ自体も自動配布&自動更新できるので、アプリの配布やバージョンアップの際にかかる工数が削減できるのです。

レイラ「なるほどですわ~!!!手間も工数も少なくできるんですのね!」
他にも、『PowerServer 2022 R3』詳細については以下の記事で解説しているので、「もっと詳しく知りたい!」という方はぜひご覧ください。
PowerServer 2022 R3 の価格とライセンス

レイラ「PowerServer にもだんだん興味が湧いてきましたわ…!
ちなみに、PowerBuilder のライセンスを持っていれば誰でも使えるのかしら?」
おお、良い質問ですねレイラさん。
PowerServer を使うには、
① PowerBuilder の CloudPro のライセンス
② PowerServer のライセンス
の2つの契約が必要です。もうちょっと詳しく説明すると・・・
①の CloudPro のライセンスには開発者が検証するための限定的なライセンスが付いているので、PowerServer アプリの開発や配布が可能なほか、限られた範囲内(最大 5 ユーザー セッション)でアプリを使用することができます。
なので実際に本番環境などで運用したい場合は、①の CloudPro のライセンスだけでなく、②の PowerServerのライセンスも契約していただくことが必要になってくるわけです。

レイラ「なるほど・・・。
でも、この PowerServer のライセンス…いろいろ種類があるみたいですわね?」
PowerServer のライセンスは、大きく『サブスクリプション(年間)』と『パーペチュアル(永続)』に分かれています。
そしてそれぞれ接続可能なセッション数に応じて価格が変わってくる、といった体系をしています。
自分たちの環境に合わせて、適切なライセンスプランを選択していただければと思います。
ライセンスや各価格についての詳細は下記の記事をご確認ください。
おわりに
今回は PowerServer について理解を深めたレイラさん。

レイラ「これで先輩たちの話題にも、『あーそういうことね完全に理解した(ドヤ)ってできますわ!』」
過度な知ったかぶりは危険ですよレイラさん!
今回のお話は基礎的な部分なので、わからないことがあれば先輩にもちゃんと聞いてくださいね。
さてさて、次回も鉄久乃 レイラさんの更なる成長に乞うご期待!です。
初心者令嬢の PowerBuilder 奮闘記 シリーズ
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