キャッシュレス大国アメリカ、実は・・・

ビルダーコラム

先月、休暇をいただきアメリカのアンテロープキャニオンに行って参りました。  宿泊はアリゾナ州ページという小さな町でしたが、アンテロープキャニオン自体はナバホ・ネイションというアメリカ先住民族ナバホ族の準自治領にあります。

アンテロープキャニオンはアッパーとロウワーの2ヶ所(最近はキャニオンXを加え3ヶ所)になりますが、せっかくなので2ヶ所とも見学をしたいと思い、まずは予約を。  勿論、英語恐怖症の正統派日本人?の私はホームページから事前予約を怠り無く行い、当日はレンタカーで現地に向いました。

アッパーは事前決済でしたので何も無かったのですが、ロウワーは当日現地での決済のみとの事。  現金が不足していたので、仮設小屋のような受付で恐る恐るクレジットカードを出したところ、窓口の方が一言『Debit or Credit?』。

ホースシューベント

前日もページ近くの絶景ホースシューベントを見学したのですが、ここ最近駐車場代を取るようになったらしく、これまた仮設小屋に座っている人にクレジットカードが使えるか聞いたところ、そこでも問題なく使えました。  今更ですが、やはりアメリカはカード社会なんだなと実感しました。

その後、ロサンゼルスに移動しアウトレットモールや観光スポットなどを訪ねました。  その際、少し郊外の町に行くと、現金で買い物をしている人が多い事に気付きました。  昨年はアメリカ東海岸の都市に行きましたが、あまり現金決済をしている人を見掛けなかったような気がしましたので印象に残りました。

近年、日本でも政府主導のキャッシュレス推進もあり、『~Pay』ブームが巻き起こっておりますので、世界のキャッシュレス事情について少し調べてみました。  まず、経済産業省が発表した『キャッシュレス・ビジョン(2018年4月)』によりますと、2015年時点での代表的な各国のキャッシュレス決済比率は下記の通りです。

  • 韓国         89.1%
  • 中国         60.0%
  • カナダ        55.4%
  • スウェーデン     48.6%
  • アメリカ       45.0%
  • 日本         18.4%
  • ドイツ        14.9%

※余談ですが、やはり日本とドイツは似たところが多いようで、現金決済比率の高さも似ているようです

キャッシュレスと言っても、決済方法は国や地域によって異なります。例えばダントツトップの韓国ではクレジットカードが主流。  中国ではQRコード決済が主流。  キャッシュレス先進国と言われるスウェーデンではデビットカードが主流のようです。  意外だったのは、クレジットカード発祥地でもありキャッシュレス先進国と言われているアメリカの決済比率の低さです。

 

連邦準備銀行が共同で実施した米消費者の決済行動に関する調査によりますと、米消費者の月間取引件数ベースで最も利用されている決算手段は現金(全体の約30%)で、次にデビットカード(同約26%)、クレジットカード(同約21%)と続きます。  オンラインバンキングやモバイル決済を含むデジタル決済手段の利用頻度は全体の8.9%で、小切手とほぼ同程度という統計結果が出されております。

 

要因として、アメリカではいわゆるアンバンクド(銀行口座のない成人)層が人口の6.5%を占めており、実際に2019年2月、ペンシルバニア州フィラデルフィア市で、キャッシュレス決済のみを受けつける店舗を禁止する条例案が成立したそうです。  現金以外の支払い手段を持たない消費者に配慮した形ですが、キャッシュレスを進めたいビジネス界からは不満の声も出ているようです。  アメリカのキャッシュレス促進には、まだまだ高い障壁がありそうです。

キャッシュ

日本に目を向けてみますと、日本は銀行口座の保有率がほぼ97%、クレジットカードの保有率は85%で、アメリカに比べキャッシュレス化の環境は格段に整っていると言えますが、『キャッシュレス・ビジョン』でも、キャッシュレスが普及しにくい背景として下記が挙げられております。

  • 盗難の少なさや、現金を落としても返ってくると言われる『治安の良さ』
  • きれいな紙幣と偽札の流通が少なく、『現金に対する高い信頼性』
  • 店舗等の『POS(レジ)の処理が高速かつ正確』であり、店頭での現金取扱いの煩雑さが少ない
  • ATMの利便性が高く『現金の入手が容易』

小切手からクレジットカードが普及したアメリカ。  クレジットカード普及前にQRコード決済を手に入れ、急速に拡大している中国。  さて、現金への高い信頼性を持つ日本のキャッシュレス化は、どの方向に進むのでしょう。  いずれにしても、日本の場合は選択肢の多さがかえってキャッシュレス化促進の阻害要因なのかもしれませんね。  ちなみに、個人的にはケニアの『M-Pesa』に注目しております。この話題は面白いと思いますので、またの機会にさせていただきます。

 

ここ最近、PowerBuilderユーザ様から比較的多くいただくお問合せがAIやRPA連携ですが、QRコードに関するご質問も多くなっております。  PowerBuilder製造元のAppeon本社が、QRコード普及が芳しくないアメリカではありますが、元々PowerBuilderのWeb化、モバイル化のソリューションを提供し続けてきた会社でもありますので、そこは期待していただけると思います。

また、10月28日(月)~30日(水)にフィラデルフィアで開催される『Elevate2019』でも、最新機能やロードマップが発表されますので、その最新情報につきましては、随時当サイトやセミナー、メールマガジン等でご提供をさせていただきます。

 

営業部 K

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