GAFA対BATH・・・SAPの存在感
-何故、PowerBuilderはドイツで使われ続けるのか?-
タイトルとサブタイトルが妙な事になってしまいましたが、ここ数年気になっている事を、私見、偏見、手前味噌的な見解を交えつつ展開してみたいと思います。
近年、IT市場を席巻している米国メガテック企業(GAFA/FAANG)に対し、猛追している中国企業(BATH)。米中貿易摩擦を象徴するかのように覇権争いを繰り広げ、二極化の様相を呈しておりますが、その中で欧州勢として唯一対抗し得る企業としてSAPが挙げられます。
何故SAPなのか? 開発主体がAppeonに移行した現在も、PowerBuilderのIP(知的財産権)を保持し続けるSAPは、PowerBuilderに関係する私にとっても、気になる存在ではありました。 また、『日本とドイツは似ている』という、何の根拠もなく漠然とそのようなイメージを持っていた事もあり、ドイツSAPの成功は、そのまま日本企業の成功につながるのでは?と、短絡的に考えてもおりました。
ところが最近、SAP成功の要因として、職業教育訓練制度に代表されるドイツ型市場経済の特徴や、統合基幹業務システムが受け入れられ易い環境があった歴史的背景などを紹介する論文に出会い、自身のイメージが違っていた事に気付かされました。 元ネタを先に紹介すると、国際教養大学客員教授でもある山内麻理氏の論文に詳細が書かれておりますので、ご興味のある方は是非ご一読ください。
[出典:情報処理推進機構(IPA) SAPの成功:ドイツの制度環境からの一考察]
上記論文もあり、日本とドイツの違いを思い知らされた次第ですが、次の疑問が湧いてきました。 では何故、ドイツにおいてPowerBuilderが使われ続けているのか?
ご周知の通り、PowerBuilderは1991年にバージョン1.0が米国でリリースされており、ドイツとは全く無縁の製品です。 当然、メーカーから開示されている顧客事例は米国企業が多いのですが、その中で特に目を引くのが数多くのドイツ企業。特に国内最大の航空、運輸、貨物、金融機関等々、錚々たる企業が名を連ねております。
実際、ドイツのPowerBuilderユーザグループ(PowerBuilder User Group Germany)の活動は盛んで、年に数回開催されるPBUGG主催のイベントは、今年5月で36回を数えるに至っております。
当初、日本とドイツは似ているという思い込みもあり、かつ日本でも名立たる企業、団体で採用されているPowerBuilderですので、ドイツも似たようなものだろうと簡単に考えておりました。 しかしながら上記論文内容を含め、ドイツのIT事情が分かりかけている現在、改めて何故ドイツでPowerBuilderなのか?という思いが更に強くなってきました。
その解は未だに出ておりませんが、想像力をたくましくするならば、ドイツ特有の現場主義に加え、アメリカ型の企業価値を重視する経営いわゆる効率経営が重視されている事が、そのままシステム開発の現場においても、効率イコール生産性というキーワードと共に、PowerBuilderが浸透、継続利用されている一因とも思われます。
現時点ではあまりにも私見が強すぎますので、本件は引き続きAppeonとも情報連携しながら、ビルダーコラムで取り上げたいと思っております。
営業部 K