PowerBuilderの将来性

PowerBuilder こぼれ話

PowerBuilderのお客様との会話の中で「最近の若い技術者はPowerBuilderを使いたがらない」とか「入社した時、たまたまPowerBuilderで開発している部署に配属されたから」といった言葉を耳にします。

PowerBuilderは生誕30年を迎えるまでになりましたから、古いイメージがあるのは仕方がないとは思いますが、現在主流のIDE(統合開発環境)といわれる開発ツールの多くが1990年代に誕生しております。 ただ、IDEという言葉が一般的になる前の1991年に誕生したPowerBuilderは、4GL(4th Generation Language:第4世代言語)製品に位置づけられ、余計に古いイメージがつきまとってしまったように感じております。つまり、早過ぎたIDEと言って良いかもしれません。 ちなみに、20年以上前の当時のメーカーや総販売代理店は、4GLの独自スクリプト言語「PowerScript」を利用した、4GL開発ツール「PowerBuilder」と紹介しておりますので、「PowerBuilder」イコール4GLと認識されるのも仕方がないかもしれません。

さて、今では数多くの製品がリリースされているIDEですが、本来の役割はやはり開発の効率化であり、開発生産性に比重が置かれるべきと考えます。 日本以上にドラスティックなシステム開発環境の欧米社会では、常に合理的に物事を考える傾向があります。つまり、少しでも早く効率的にモノを作り上げるということを優先しシステム開発を行うため、最適な開発言語はなにか?どのIDEが自社に適しているのか?でツールが選択される傾向にあります。

そのような欧米各国において、現在でもPowerBuilderが活用され続けている事例は枚挙にいとまがありません。 大規模システムの多い金融系の中で、恐らく世界最大規模のPowerBuilderユーザは欧州最大のメガバンクで、その保有ライセンスは650本にもなります。  その他にも米国最大の生保会社と、世界有数の投資会社が共に250本のライセンスを保有し、日々改修や改良を重ねながら、フィンテックやデジタルトランスフォーメーションといった潮流に対応しつつ企業規模を拡大しております。

自社開発が主流の特に米国と日本では文化が違うと言ってしまうのは簡単ですが、実は日本でもシステム開発の佳境になると、その期間は100名を超えるPowerBuilder技術者が同時稼働する大規模システムの現場もありますので、あながち欧米だけが特殊ということではないと思います。 ただ、開発されるシステムが大規模になればなるほど、システムアナリスト、システムエンジニアやプログラマーと技術者の職掌が細分化される傾向にある日本の開発環境と違い、欧米ではプログラマーの作業範囲は広範で、時には1人のプログラマーが企業の方向性すら変えるようなシステムを開発したりもします。 そういったプログラマー達に選ばれる開発ツールとして、PowerBuilderが採用され続けております。

将来性

開発ツールの将来性といっても、様々な用途や開発手法に応じて得意、不得意なこともあり一概には論じられませんが、一つの尺度として欧米でのトレンドは重要な判断基準になるかと思います。クラウド時代を迎え、クライアントサーバシステムは古い世代へと押しやられている現在、なぜ欧米の主要企業でPowerBuilderが見直され、活用され続けているのでしょうか。

PowerBuilderが持つ最大の武器でもあるDataWindowによる開発生産性の高さが再評価されていることは間違いありませんが、AT&Tやアクセンチュアの事例でもお分かりの通り、欧米では多くの企業がPowerBuilderの新機能やPowerServerを活用し、既存システムのモダナイゼーションを既に済ませ、新時代に対応しております。

また、ある企業では別言語で開発されたアプリケーションを、PowerBuilderで作り直す(PowerBuilderに寄せる)という事例も出始めております。 欧米ではPowerBuilder資産を本来の意味でのレガシーと捉え、マイグレーションではなくモダナイゼーションという形で継続、更なる活用を進めております。

世界で唯一、PowerBuilder現地語(ローカライズ)バージョンをリリースしている日本でも、遠からずこの流れが加速するものと推測しておりますので、今後のPowerBuilderの将来性にご期待いただければと思います。

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