ベトナムへの訪問

ビルダーコラム

こんにちは、サポート部のまさよしです。

テクニカルブログで稀に登場している私ですが、今回は11月6日~9日にアライアンスパートナー(候補)との顔合わせを含めた現地ミーティングのためベトナムはホーチミンに訪問したので、ビルダーコラムにて少しだけお話しさせていただければと思います。

少子高齢化

少子高齢化が急速に進んでいる我が国、日本。どの業界でも労働力の確保が重要な課題と叫ばれています。また、離職率の増加や就職率の減少で近年人材の流動化はいっそう激しくなり、人手不足で悩んでいる企業も少なくないかと思います。生産年齢人口について内閣府の統計を見る限り、今後もこの状況が好転するほどの人口増加は見込めないため、人材を海外から調達する時代に変化してきています。

ちなみにご存知の方も多いかと思いますが、地理的に近くて優秀なエンジニアが多い中国や、中国と同様に膨大な人口で最先端技術も取り入れている開発先進国のインド、IT分野の成長が目覚ましく若くて優秀な人材が揃っているため今後も人気が継続するフィリピン等、様々な国々が日本のアライアンスパートナーとして活躍されています。

今回訪問したベトナムは、前述の国々に負けず劣らず、北部のハノイ・南部のホーチミンともに日本とのアライアンスパートナーの実績数は多く、またベトナムの小学校では日本語を英語と並ぶ第1外国語として教えているため、開発に関する知識と日本語が話せるブリッジエンジニアも近年急速に増えています。儒教の国であるベトナムは真面目で勤勉、向上心も強く家族や仲間を非常に大切にしており、一方で上下関係も大切にしていて、日本からの要望やスケジュールが多少無茶な内容でも期限いっぱい頑張ってしまう人もいるようです。

バイク群1

私自身、恥ずかしながら海外にいった経験はあまりなく海外出張は初めてだったので、ベトナムについての情報を集めて事前準備を整えましたが、現実は色々と圧倒される出来事や光景が多く、是非、今回はその一部をご紹介したいと思います。


前途多難な旅立ち

顔認証ゲートってご存じですか?出帰国手続の合理化を目的として、成田空港では2018年6月から顔認証ゲートの導入・運用が開始され、何度もパスポートを提示・確認することなく搭乗手続きができるようになりました。パスポートのICチップ内にある顔画像と顔認証ゲートのカメラで撮影した顔画像を照合し、本人確認を行う仕組みのようです。

パスポート

しかしここで痛恨の凡ミス!顔認証ゲートではパスポートのICチップを読み込ませるため、顔認証ゲートの旅券リーダにパスポートを置くのですが、私は人生初の海外出張だったので緊張やゲートが開いた嬉しさで頭がいっぱいになり旅券リーダに置いたまま通過。

「ふう、入れたぞ。。。」と思いながら免税店で悠長に買い物をしているときに気づき、必死の形相で顔認証ゲート横の事務所に駆け込み、冬なのに大汗をかきながら入国審査官に事情を説明したところ私のパスポートが届いていて、事なきを得ました。届けてくれた見知らぬ方、御礼申し上げます。


圧倒的なバイクの量

今回は上司とリーダー、私の3人の海外出張でした。訪問した企業は上司と昔からビジネスのお付き合いがあり、今回の連携も陣頭指揮をとっていただきました。そのため、ベトナム事情に精通されており、事前情報の一つとして「バイクだらけだよ」と聞いていたのである程度は予想していました。

昼のバイク群
夜のバイク群

が、そんな私の予想を遥かに超えて、道路にはバイク、バイク、バイク、車かと思ったら三輪バイク。ベトナムに3日間滞在したのですが、日本で1年間で見るバイクの数を遥かに超えていました。また、2人乗り用のスクーターに3人、たまにファミリーと思わしき4人が一台のバイクに平然と乗っていたり、妊婦さんもノーヘルで後ろに乗っていたり、街はエンジン音とクラクションがシンフォニーを奏でていて、日本ではまず考えられないカオス状態に愕然としました。

帰国後、Web でベトナムのバイク事情を調べたところ、ひと昔前までの交通手段は自転車が多かったようですが、2000年頃の国内経済急成長且つ、ベトナムの道路事情(道幅が狭い)や大都市で頻発する大渋滞等、バイクの小回りが利くところが重要で生活の一部となっています。使っているバイクはほぼ日本ブランドなので、いやはやありがたいことです。


信号機が少ない

ホントに少ないんです、信号が。仮にあっても、激しい交通渋滞から信号無視や一方通行逆走、路上走行等、ほとんど機能しておらず「道路の横断どうすればいいの?」と戸惑います。上司から事前に「バイクは止まらないけど横断歩道を渡るときは、バイクがくる方向をみてゆっくり歩くけばバイクがよけてくれるよ!それと途中で立ち止まったり、走ったりするのは逆に危険だからね。」とアドバイスをもらっていたのですが、案の定渡れず、初日・二日目までは上司が横断歩道を渡っている後ろについていくか、近くの信号があるところまで大回りしてました。

信号機

とはいってもいつも上司と一緒ではなく、「清水の舞台」から飛び降りる気持ちで信号のない横断歩道を歩いてみると見事にバイク群はよけてくれました。上司曰く「ラッシュ時の新橋駅と一緒で人と人がぶつからないでしょ。」とのこと。外国人が渋谷駅のスクランブル交差点をみて驚く意味が私にも分かった気がしました。比較的低い速度でダラダラと走っているので、例えると大縄跳びに入るようにタイミングを見計らって飛び込む感じに似ているような気がしますが、かなりのクラクションを浴びるので気が気でないのも確かです。なお、ベトナムでのクラクションは「私はここにいるよー」という合図で使われるそうなので、そこまで怖がる必要はないとのこと。


蜷局をまいた電柱

「ベトナム 電線」でググってみてください。電柱に幾重にも巻き付かれた電線の画像がヒットすると思います。上司から事前に「電柱をよく見ておくように。」とお達しがあったのですが、実際、自分の目で見てみると圧巻でした。

蜷局をまいた電柱1
蜷局をまいた電柱2

まさに電線の蜷局(とぐろ)、ちょっとした芸術品にもみえました。米国 Microsoft のビル・ゲイツさんも Facebook 上で「蜘蛛の巣のような電線」というタイトルで投稿したことが話題になったときもあったそうです。日本的思考だと漏電や感電等、危険極まりない状態ですが、これも一種の国の成長痛ともとれ、ベトナムのインフラが近年の急成長・急発展に追い付いていないのかなと思いました。ただ、最近は安全面の発展も考えていてベトナムは国をあげて無電柱化を急ピッチで取り組んでいるそうです。


忍び寄る魔の手

慣れることで油断が生まれることもありますよね。仕事でも言えることですが、海外での行動においても同様だなと痛感した出来事がありました。

ホーチミンには24時間利用可能な ATM マシーンが所々に設置されているくらい治安はそこまで悪くありません。

現場

海外出張の最終日は土曜日だっため打ち合わせ等もなく、帰国する便まで時間があったのでホーチミン散策にでかけました。慣れるもので横断歩道も一人で渡れるようになり、少し気持ちが大きくなって遠くまで足を延ばしました。まだ朝早いせいか旅行者はほとんどおらず、何処から何処に向かっているのか分からないですが、現地人が乗ったバイクがたくさん行き交っていました。そんな中、バイクに乗った細身で小柄の人懐っこいにこやかな初老が私に近づき、笑顔で気さくに英語で話しかけてきました。どうも私の横断歩道の渡り方のアドバイスのようで、やたらフレンドリーに「どこから来たの?」「家族いるの?」「いつ帰るの?」等、私が日本人と気づいてからは流ちょうな日本語で矢継ぎ早に話しかけてきて、この切り替えの早さに逞しさを感じました。

私も最初は世間話なのかなと思って笑顔で会話に付き合ったのですが、次第に「どこのホテルに泊まっているの?」「ここは危ないから帰り道を教えてあげるよ。」といった道案内まで。これ以上は関りを持たないほうがいいと直感的に感じました。私は「No Thank you!」と何度も何度も言い放ち振り払おうと思いましたが、初老は果敢にも笑顔でさらに距離を狭めてきました。しまいには多額のチップを要求してきました。「これはまずいぞ」と思い、私はありったけの勇気と最後の希望にかけて「I have No Money! Good Bye! 」と言い放ち、立ち去るようにその場から逃げ出しました。初老は何かブツブツと私に文句をいいながらも追ってはこず、この危険から私はなんとか逃れられました。ただ、初老も歴戦の猛者と見受けられるやり手(?)だったので、バイクでホテルまで尾行してチップを請求してくる可能性も捨てきれず、私は最大限の注意を払いながらやっとホテルに辿り着きました。


まとめ

業務としてもプロジェクトを推進するにあたり必要となる進捗管理についてのコミュニケーションルール、調査工程や開発工程、テスト工程での作業内容の確認、品質に対する意識、瑕疵対応の可否、作業環境の確認等を打ち合わせてきましたが、今回は両社の個々人と面前で会話して人柄をしっかり把握することや日本・ベトナムにおける技術開発文化を相互理解することでの関係作りに重きを置きました。次からが本番なので業務成果につなげられるよう、計画や指示の出し方等の管理方法に思考を巡らせようと考えています。

空路
ベトナム上空

あくまで個人的な感想はホーチミンを肌で感じ、亜熱帯の街の中で急速に発展しようとする混沌としたカオスの中で「若さ」と「成長」へのあくなき追及する姿勢。ひいてはそれが国全体の豊かさに繋がるという熱い血潮が溢れてくる空気をひしひしと感じました。また、エネルギッシュでパワフルに毎日を過ごすメンタリティの大切さを改めて認識して帰国の途につきました。ベトナムに着いたときぼんやりと眺めていた暖色灯が、帰りはとても激しく煌々とそしてどこか温かく感じる灯りにみえました。

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