「業務データは企業の命」、PowerBuilderを戦略的な要として活用 森長電子株式会社様事例

「業務データは企業の命」、PowerBuilderを戦略的な要として活用

Web APIのシステム連携でDXは「いいところ取り」を

ゲリラ豪雨、線状降水帯など異常気象による影響が年々増加している近年、避雷器の開発・製造・販売、耐雷対策工事の設計・施工などの耐雷事業および積雪計・凍結計・監視カメラなど、電子応用設備の設計・施工・保守などのシステム開発を事業展開している森長電子への注目度が飛躍的に上がっている。なぜなら激雷地域である北陸において同社は、長年耐雷対策に真摯に取り組み、高性能避雷器(SPD:Surge Protective Device)である高速回線避雷ユニットの開発に成功したからだ。同社のこうした事業を支える受発注から仕訳まで行うMCCシステムや資金繰りシステム、受注照会システム、納入実績システムはすべてPowerBuilderで開発・運用している。代表取締役社長の吉田悦子氏にPowerBuilderを採用した理由やメリットについて話を伺った。

■クチコミにより広がった、公的機関からも高い評価を受ける超効果的な高速回線避雷ユニット

1973年に防災行政無線設備やテレメータ設備の設計・施工・保守を主な事業として設立された森長電子。現在では、避雷器の開発・製造・販売、耐雷対策工事の設計・施工などの耐雷事業および積雪計・凍結計・監視カメラ等、電子応用設備の設計・施工・保守などのシステム開発を中心に事業を展開している。


「設立当初より、北陸特有の雷害に悩まされましたが、その対策に取り組む中で、成果として高性能避雷器(SPD)である高速回線避雷ユニットを開発することに成功しました。この製品はユーザー様からの高い評価をいただけただけでなく皆様自らのご評価を口コミで広げて下さったのです」と語るのは、同社代表取締役社長の吉田氏である。

雷害とは、雷が発生した際に雷サージ(電気の津波)が電気機器の電源ケーブル、信号ケーブルや接地ケーブルから機器内に侵入し、部品等を破損させる障害のことを指す。このような雷害に対し、同社のホームページに掲載されている納入先のJAXAを始め、同社製品を設置した顧客からは「雷害がなくなり助かっている」「故障もせず、持続的に運用しやすい」という声が圧倒的に多く、これら顧客からの生の声が製品開発への原動力となり、社会に貢献する企業としての活動を続けている。

      避雷針が備わっていても…
避雷針からの電サージが精密機械にダメージを与える




   『サージエネルギー減衰方式』を採用する同社の『高速回線避雷ユニット』と用いると『雷害ゼロ』に!



■開発生産性が高い統合開発環境「PowerBuilder」との出会い

なにを隠そう同社のほとんどの業務システムは、吉田氏自らがPowerBuilderで入社以降フルスクラッチ開発・運用したものだ。


「約30年前、入社してすぐに開発室に入り、アセンブラやCOBOLを駆使してオフコン向け業務システムをスクラッチ開発していました。まもなく時代はオフコンからオープンシステムへシフトする潮流が到来し、途端にアセンブラやCOBOLで開発した業務システムは再構築の必要性に迫られ、新たな開発言語の選択が必要になったのです」(吉田氏)


吉田氏は当初、Visual BasicやC言語などを用いて業務システムを開発することを検討した。しかし、自ら言語を学習し、それらの開発言語で業務システムを開発できそうな目論見は持てたものの、開発工数の膨大さと完成に至る期間の長さを考えて頭を抱えていた。

「柔軟にカスタマイズが可能なパッケージソフトを用いて業務システムを構築できないかと考え、展示会に足を運びました。その展示会の中でたまたま紹介されたパッケージソフトがPowerBuilderで開発されていたのです。テーブル設計から業務システムを素早く開発できる事実に素直に感動しました。それがPowerBuilderとの最初の出会いで、PowerBuilderを使えば当社の想定する業務システムの開発工数を極小化し短期間で開発できると期待しました」と吉田氏。

「当時、私自身でPowerBuilderバージョン4.0を購入し、開発当事者として開発環境に求める要件を満たしていることを確信しました。そこで当時の社長に直談判し、当社の開発環境としてPowerBuilderの導入に至りました。社長にPowerBuilder導入のメリットを上手く説明できたかどうかは分かりませんが、『とにかくすごいんです!』と意気込んだことは今でも鮮明に覚えています」(吉田氏)

「PowerBuilderを使って先ず実感するのは、その開発効率の高さです。テーブル設計さえ適切に行えば、あとはデータウィンドウと紐付けるだけでシステムが開発できます。SQL 文の自動生成機能を活用するとSQLを意識することなく使える上、細かい制御も可能です。データウィンドウ・継承機能・オブジェクトの共通化などPowerBuilderの機能を活かした高い開発生産性のおかげで、度重なる法改正への対応や、限られた時間の中でも、システムに必要な機能の検討やUI設計により多くの時間を使えるのです」(吉田氏)

■基幹システムとして利便性を追求したPowerBuilderアプリケーション

「現在、受発注から仕分けまで行うMCCシステムや、資金繰りシステム、受注照会システム、納入実績システムなどのPowerBuilderアプリケーションが稼働していますが、どれもシステムを使う人が使い易いように、現場ニーズに合わせ利便性を重視して開発しました。例えば、受注照会システムでは、工事受注・商品受注・製品受注といったそれぞれの受注情報を参照できるだけでなく、回収予定や入出金などの回収情報、出荷・請求(一括)・請求(個別)などの債権債務情報、原価(工事)・原価(商品・製品)などの原価情報、決算月情報など、2つのデータベースの合計12テーブルからデータを取得して表示させています。経理部門や営業部門でさまざまな取引実績の情報を確認する際、この照会画面一つで一元管理されているので、受注画面や請求書、納品書などを都度ひっくり返して調べる必要がないのです。画面左側で顧客別、さらに案件別と、ツリービュー形式で表現したのも見やすさにこだわった箇所ですが、データウィンドウや、ユーザー定義イベント、多彩なユーザーオブジェクトを作成できるPowerBuilderのおかげで、開発はたった数日だと記憶しています」(吉田氏)




「納入実績システムは、いつ・どこに・何を・どれだけ納入したかを過去25年以上に遡り調べることができるシステムですが、営業部門で営業支援ツールとして活用したり、メーカーとしての納入実績資料を作成するのに使用しています。当初はExcel側でデータを抽出して加工することも考えましたが、列を横断し特定かつ複数の意味をもつような検索は困難と考え、PowerBuilderで開発しました。PowerBuilderではデータウィンドウのクエリを動的に作成することが可能なので、複雑な条件を入力できるウィンドウを用意してクエリ文を作成することで、検索条件にあった情報を瞬時に表示・印刷することができました」(吉田氏)



「他にPowerBuilderで気に入っているところは、例えば、Filter・Delete・Primaryなどのバッファによってレコードごとに表示/非表示を制御することができ、カラムごとにも表示/非表示、入力可/不可、編集形式など詳細な制御が可能なことがすごく気に入っています。また、データウィンドウでは、テーブルの各カラムと見た目上のコントロールを一つ一つ紐づける手間は不要で、SELECT文の結果をそのまま画面上に自由にレイアウトできるのですごく助かっています」(吉田氏)

■Web APIを活用したシステム間のシームレスな連携で「いいところ取り」を目指す

今後、同社はサイボウズ社の「kintone」で開発した営業向け業務システムとPowerBuilderで開発した業務システムとの連携を進める予定だという。PowerBuilderで開発したシステムはオンプレミス型で、安心して機密性の高い情報を扱う。一方、kintoneなどのクラウドサービスは、どこからでもアクセスできる比較的オープンな情報を扱う。


「業務データは企業の命だと思っています。PowerBuilderは業務データをしっかりと守りながら運用することが使命であり、クラウドサービスはオープンな情報をどこでも扱えるといった利便性が必要です。それぞれの役割を理解して、どのような業務で活用するのかを判断すれば、いいところ取りができると考えています。そして、システム間の連携がスムーズにできれば、業務効率やシステム全体の利便性が向上し、それは企業のDXを実現するひとつの手法になると思っています」(吉田氏)

「現状では、各システム間のデータ連携はCSVを介しています。しかしシステム間の連携を今以上スムーズなものにすれば、CSVを介することで生じる労力を削減し、業務効率化や生産性の向上が見込めます。具体的には、PowerBuilderのWeb APIを活用したデータ連携機能を用いて、システム間の連携を図る予定です」(吉田氏)

■PowerBuilderを使用している親会社とも連携し、新しい世代への引継ぎを

これまで一人で業務システム開発を担当してきた吉田氏は2004年に経営管理部に異動し責任者となった後、2021年に代表取締役社長に就任。

「一概に数値比較はできませんが、他の開発環境では、複数人で時間をかけてシステムを開発していきます。例えば、テーブル設計、共通仕様、照会系、入力系、出力系などさまざまな側面で役割分担があると思います。しかしPowerBuilderは、その生産性の高さから、開発から保守まで一人でも対応することができます。また、PowerBuilderはバージョン間で高い互換性を保持しているので、最新環境に対応させる必要性が出ても、比較的容易にマイグレーションをして最新バージョンに上げることができます」(吉田氏)


「社長に就任したことで、今後はPowerBuilder担当の後任についても検討しなければならないと考えています。幸い親会社が同様にPowerBuilderを採用していることから、スキルトランスファーの方法など、情報連携を密にしながら進めていきたいと考えています」(吉田氏)

PowerBuilderを採用している親会社との事業シナジーを活かし、今年設立50周年を迎える同社の活躍には、多くの企業が注目している。


       製造工程①            製造工程②             出荷工程


~製造から施工までをワンストップで実施できるためノウハウが蓄積し、施工効率UPや製品改良につなげている~

 

プロフィール

森長電子
会社名 森長電子株式会社
設立 1973年11月
資本金 自己資本6億円(内資本金3,500万円)
従業員数 42名
Webサイト https://alp-plp.com/
取材月 2023年7月

 


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