帳票デザイン機能を搭載し、個別のカスタマイズを大幅に削減 NRI社会情報システム株式会社様 事例

NRI社会情報システム活用事例

シルバー人材センターの業務全般をサポートする「エイジレス80」

帳票デザイン機能を搭載し、個別のカスタマイズを大幅に削減

NRI社会情報システム株式会社は、全国のシルバー人材センターの業務全般をサポートする「エイジレス80」をメインに開発・販売している。この「エイジレス80」は1985年の提供開始から現在に至るまで約40年間提供し続けているが、1995年から30年近くに亘りPowerBuilderで開発・保守を継続されている。開発環境にPowerBuilderを採用し続けている理由やメリットについて、開発部の小川真也氏と佐々木寛之氏にお話を伺った。

■シルバー人材センターの業務をサポートする「エイジレス80」

株式会社野村総合研究所(以下、NRI)グループの1社であるNRI社会情報システム株式会社は、全国の市区町村にあるシルバー人材センターのシステム構築や運用をサポートし、高齢者の地域活動や就業活動を活発にする事業を支援している企業として知られる。

小川真也氏

小川真也氏

「当社は全国のシルバー人材センター様向けの業務システムである『エイジレス80』をメインに開発・販売をしています。」と開発部 ビジネスデザイングループ エキスパートシステムエンジニアの小川真也氏は語る

エイジレス80は、シルバー人材センターの基幹業務として、会員・発注者情報や就業管理、また組織運営に必要な会計処理や給与計算機能はもちろん、分析や統計などの機能も備えた、まさにオールインワンパッケージシステムだ。

全国約800の市区町村、7,000人ものユーザーが利用しており、シェアは70%を超える。事実上の業界標準システムだ。シルバー人材センターの業務に必要な機能が網羅されていることに加え、ユニバーサルデザインを意識した誰もが使いこなせる、わかりやすいインターフェースが提供されている。

エイジレス80TOP画面

エイジレス80TOP画面

「当社はシステムの提供だけではなく、業界に対する提案や情報提供を行っています。会員様や地域の方々のデジタル化を促進し、働き方やサービスを変えていくDXを推進しています。また、専用のコールセンターを構えており、システムの使い方に限らず、踏み込んだサポートを提供していることが、お客様に評価されている一つのポイントだと感じています。」と開発部 ビジネスデザイングループ エキスパートシステムエンジニアの佐々木寛之氏は語る
佐々木寛之氏

佐々木寛之氏

エイジレス80は、東京都をモデルユーザーとして1985年に提供を開始し、1995年には業界初となるクライアントサーバー型システム「エイジレス80 第3世代」をリリースした。2013年には第7世代をリリースし、アプリケーションを仮想化することでクラウドに対応。顧客の事業データをクラウドへバックアップできるようになった。さらに、取材時点での最新版であるPowerBuilder 2019 R3へバージョンアップを行い、2023年1月には第9世代をリリースした。

顧客の事業データが保存されているデータセンターは大規模災害にも耐えうる設計となっており、24時間365日NRIが監視を行っている。さらに遠隔地でもデータをクラウドへバックアップすることで、事業運営の継続性が高められている。災害などによりデータの紛失・破損があればデータの復旧に時間がかかり、事業継続も危ぶまれるが、BCP/DR対策が十分に行われているため、信頼性が高く、事業継続にも有効なシステムだ。

このようにエイジレス80は、長期間に亘って現場視点で業務最適化をサポートし、顧客の声を収集してサービスの改善に反映してきた。その経験やノウハウが結集されたシステムやサポートが魅力となり、多くの顧客からの信頼を獲得しているというわけだ。

 

■自由度が高く、圧倒的な開発生産性を誇る統合開発環境「PowerBuilder」

エイジレス80は、もともとNRIが開発・販売していたが、2007年に設立したNRI社会情報システムに事業を移管した。それ以降、エイジレス80の開発・販売はNRI社会情報システムが行っている。

「エイジレス80 第3世代から最新版となる第9世代まで、PowerBuilderを使って開発をしています。1990年代、NRIでもPowerBuilderを使ったWindowsアプリケーションの開発プロジェクトが多数あり、開発実績やノウハウがあったため、エイジレス80の開発にも使われたことがきっかけです。PowerBuilderは開発生産性が高く、要件を整理しながらも簡単にサンプルができるため、サンプルを確認しながら調整を進めることもできます。開発してきた資産も有効活用できるので使い続けています。」(小川氏)

PowerBuilderは1991年にバージョン1.0がリリースされて以来、多くの企業がアプリケーションやサービス開発に活用している。データベースや帳票などを扱う業務アプリケーションの作成を得意とし、日本市場でも1,400以上の団体で使用されている。

「シルバー人材センター様は、業務で多くの帳票を使いますが、800市区町村ある中で契約書一つとってもそれぞれに違いがあります。エイジレス80では約2,000の帳票と画面が存在しますが、これを個別にカスタマイズしてしまうと規模が膨れ上がり、保守性が低下してしまいます。このカスタマイズを削減するために、エイジレス80ではお客様自身で帳票デザインを変更できる機能を提供しています。アプリ上から帳票イメージを動的に変更することができ、変更した帳票は保存して次の世代に移行しても使用できます。PowerBuilderで実現したこの機能を提供することによりカスタマイズが圧倒的に減少し、保守性が向上しました。」(小川氏)

同社は帳票をいくつかのパターンに分け、パターン毎のクラスを作成したり、メニュー表示や印刷処理など、システム内で共通的に使用できる処理も独自のクラスとして準備している。それにより、開発の効率化、安定稼働を実現している。PowerBuilderには標準でさまざまなクラスが提供されているが、独自のクラスを作成して活用できることも大きな魅力の一つだ。

「エイジレス80は、全国約800の市区町村が使うパッケージシステムなので、不具合が発生してしまうとお客様の業務が止まってしまうだけでなく、その先にいる会員様や発注者など地域社会にも影響が及ぶため、プログラムの品質確保やリリースには特に注意を払っています。その際、ブラックボックスが少ないというのも重要な要素です。PowerBuilderはローコードの開発環境ですが、一般的なローコード開発環境の場合、どこでエラーが発生しているのかが特定できない場合があります。PowerBuilderのデバッグ機能は使いやすく、原因の特定が容易で我々も動作をしっかりと理解できるので、品質の高いアプリケーションを提供できています。」(佐々木氏)

 

■ニーズに応えるため、PowerBuilderのさらなる機能追加・強化に期待

同社はエイジレス80の他にも、シルバー人材センターが人材派遣事業を開始したことをきっかけに、派遣事業向けのWeb版システム『Collabo80+』の開発・販売をしている。

「WebアプリケーションであるCollabo80+の開発にもツールを使用していますが、PowerBuilderの生産性の高さを実感しています。また、エイジレス80はアプリを仮想化し、職員様が事務所外でも会員情報の照会などが行えるようにタブレットPC向けのシステムも配信していますが、UIを工夫してモバイルアプリのようなデザイン・操作性を実現することもできるので、使い方次第で自由度も高いです。ただし、タブレットPCなどの特殊なサイズの画面は、その大きさに合わせて都度画面設計をしなければならないので、微調整などの作業に苦労するケースが少なくありません。もしレスポンシブデザインに対応できれば、さらに生産性が向上するでしょう」(佐々木氏)。

タブレットTOP画面

タブレットTOP画面

現在もユーザーニーズに応えながら機能を追加・強化しているが、さらなるニーズに応えるため、マルチデバイス対応やWebサービスとの連携を視野に入れる。

「シルバー人材センター様の業務にWebやスマートデバイスなどを使うケースは増えてくるでしょう。そういったニーズに応えられるようにPowerBuilderの機能についても追加・強化してほしいです。我々はエイジレス80を通じて、シルバー人材センター様の働き方改革やDXを加速させるお手伝いをしていきます。PowerBuilderには、ぜひその後方支援をお願いできればと思っています。技術継承が今後の課題の一つですので、エンジニアを育成すためにもPowerBuilderの研修会や事例集などの充実に期待したいですね」(小川氏)

開発生産性の高いPowerBuilderを使い、長期間に亘りエイジレス80を保守・開発しているNRI社会情報システム。同社の保守・開発を担うPowerBuilderへの期待は大きい。

プロフィール

NRI社会情報システム
会社名 NRI社会情報システム株式会社
設立 2007 年 10 月 1 日
資本金 1 億円
Webサイト https://www.nri-social.co.jp/
取材月 2023 年 1月

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