菓子卸業界の基幹システムを30年以上支え続けるPowerBuilderとその進化 株式会社エヌエスシーエス様事例

菓子卸業界の基幹システムを30年以上支え続けるPowerBuilderとその進化

菓子卸業界で長年の実績を持つ外林グループの情報システムを担う株式会社エヌエスシーエス。同社は30年以上にわたり、統合開発環境「PowerBuilder」を使用して基幹システムの開発・運用を行ってきた。同社がPowerBuilderを長年にわたって活用し続ける理由と、その効果について、株式会社外林・取締役・執行役員・システム本部長・吉原慎二氏、株式会社エヌエスシーエス・システム本部・開発係・宮地毅氏、同開発係の岩木亨氏、同開発係の尾﨑友哉氏に話を伺った。

■ 90年代から業界に先駆けてデジタル化を推進

エヌエスシーエスは、スーパーやドラッグストア、お菓子専門店などでの菓子販売で知られる菓子卸業界大手「外林」のグループ企業だ。


「物流」、「システム」、「商品開発」、「輸入」、「袋詰め加工」、「人財開発」などの総合力で事業展開している外林グループの情報システム部門として、同グループの情報システムを支える重要な役割を担っている。


~ 外林グループご紹介動画 ~


左から、株式会社外林 取締役 執行役員 システム本部長 吉原慎二氏
株式会社エヌエスシーエス システム本部 開発係 宮地毅氏、岩木亨氏、尾﨑友哉氏



「エヌエスシーエスは、外林グループを含む11社ほどの企業で構成される企業グループの情報システムの構築・運用を行っています。基幹システムの開発においては、以前からPowerBuilderを活用し、効率的にシステムを開発しています」と吉原氏は語る。

1990年代、外林は業界に先駆けてITの利活用を推進し、オフィスコンピューター(オフコン)による基幹システムを構築し、業務効率を向上させていた。


「当時の菓子卸業界は紙の帳票を扱うことが多く、多くの業務がアナログ作業となっていましたが、外林は基幹システムを導入・運用し、生産性を向上させることに成功しました」(吉原氏)

そして、その効果を目の当たりにした他のグループ会員企業から同様のシステムを使いたいという要望があったという。

■基幹システムの開発にPowerBuilderを採用

「他のグループ会員企業からシステム使用の要望が出ていた頃、時代はオフコンからオープン系システムへの移行が始まっていました。そのため、単純に外林のオフコンをグループ内で展開するのではなく、新しいシステムの導入を検討し、複数の企業で共通利用できるものとしてパッケージソフトの導入を検討しました。しかし、菓子卸業界に適したパッケージソフトは当時はなかなか見つかりませんでした。そこで自社開発の方向で検討し直し、コストや工数を抑えながらも、それぞれの企業に最適化したシステムを開発できるツールを探すようになったのです」(吉原氏)

エヌエスシーエスは、開発ツールの選定を大手ベンダーに依頼し、PowerBuilderが推奨されたという。他の開発ツールと比べ、PowerBuilderの大規模システムでの開発実績や開発生産性の高さは群を抜いており、PowerBuilderの導入はすぐに決まったという。

PowerBuilderを導入したエヌエスシーエスは、管理会計システムや原価システム、支払い・受発注システムなどを次々と開発。さらに、各業務システムを連携させる仕組みも開発することで、社内業務のほとんどをシステム化していった。これらのシステム群はNSIP(NS Information Products)と呼ばれ、当初は数百規模だったが、この30年以上の間に大小合わせて累積1万近くのシステムが開発されてきたという。そして各システムは外林グループの企業に展開され、グループ全体の業務の効率化に大きく貢献している。

 

~菓子卸売業向け統合システム「NSIP」(システム機能体系図)~~菓子卸売業向け統合システム「NSIP」(システム機能体系図)~



~入出荷在庫履歴照会~



~メーカー見積書未提出分一括確認~



~EOS運用状況照会~



■30年以上にわたりPowerBuilderでシステム開発

高い開発生産性を誇るPowerBuilderの最も特長的な機能は「データウィンドウ」だ。データウィンドウとは、データベースとの特別なインタフェースによりデータをさまざまな形でウィンドウ上に表現できるPowerBuilderの魅力的な機能の最たるものであり、データウィンドウこそが、データの検索、更新、表示などを視覚的かつ容易にしかも迅速に行う重要な役割を果たしている。


エヌエスシーエスの宮地氏は、「PowerBuilderはデータベースとの親和性が高く、データウィンドウを使うことでさまざまな業務で蓄積したデータを有効に活用することができます。データベースとの連携が容易なため限られた時間の中でシステム開発時間を大きく短縮し、その時間を仕様検討やテストなどに有効利用できるので、ユーザーの満足度や品質が高いシステムを構築することができます」と語る。

PowerBuilderには、画面やオブジェクトの作成が効率的に行える機能や、容易にエラーを検出する機能が搭載されているため、開発者にとってのメリットも多い。

「PowerBuilderは、エラー箇所がすぐに分かるので助かります。他の言語の場合、どこでエラーが起きたのかを分析するだけでも時間がかかってしまいますからね」(岩木氏)

エヌエスシーエスは、PowerBuilderの導入により開発期間の大幅な短縮を実現した。他の開発環境と比較すると数倍の速さで開発が可能になり、業務の効率化に大きく寄与している。また品質面でのメリットも大きい。PowerBuilderはオブジェクト指向の比較的コーディングの少ないローコード開発ツールであるため、コーディング中心のスクラッチ開発と比べるとそもそもバグが少なく、テスト工数を大幅に短縮できるだけでなく、より信頼性の高いシステム開発が可能になる。

IT人材不足という問題解決にも一役買う。教育がしやすく、ソースを見ることでどういった作業が施されているのかを容易に理解することができるため、技術の習得や継承がしやすいのだ。

岩木氏によると、「新入社員でも1~2週間の研修で2、3本のシステムを開発することができますし、1ヶ月も研修をすれば一人でPowerBuilderを使えるようになります。プログラムの可読性も高く、技術継承も問題ありません。古いシステムの中には、ドキュメントがないケースもありますが、PowerBuilderのソースを確認したり、SQLを確認したりすることで対応可能ですからね」と語る。

これらに加え、最新バージョンへのマイグレーションが容易である点も魅力だ。「互換性が高いため、以前開発したものもそのまま使うことができます。こういった細かい配慮があるのもPowerBuilderの特長だと思います」と宮地氏は高く評価する。


「システムの大規模な刷新や再構築を行うことなく、継続的に改善を加えながら運用できていることは、ノウハウ蓄積およびコスト面でも大きなメリットとなっています」(宮地氏)


~商品情報1~



~商品情報2~



■多様な働き方にもシステム側で対応

同社では、今後もPowerBuilderを活用しながらさまざまな取り組みを進めていく予定だ。その一つが、リモート環境への対応である。今後はタブレット端末などでも使いやすい画面設計を行い、リモート拠点の増加に対応していく予定だ。また、外部オブジェクトとの連携強化も課題の一つ。特にメール送信やPDF生成など、外部オブジェクトとの連携をより安定させ機能を拡充していく必要があるため、PowerBuilder 2022 R3 日本語版の新機能に注目しているという。


エヌエスシーエスは、PowerBuilderを戦略的に活用することで菓子卸業界の特性に合わせた効率的なシステム開発を実現し、グループ全体の業務効率化に貢献している。グループ全体でユーザーからの要望が毎月100件ほど上がってくるという現在、それぞれの要望に日々迅速に対応し、ユーザーニーズに合わせたシステムの機能改善を継続している。そして今後も変化するビジネス環境に対応しながら、PowerBuilderの特長を活かして基幹システムを進化させ続けていくことが期待されている。同社の取り組みは、長期的な視点でのシステム開発と運用の在り方に一石を投じるものであり、他の業界にとっても参考になる事例と言えるだろう。


 

プロフィール

エヌエスシーエス
会社名 株式会社エヌエスシーエス
設立 2000年10月
資本金 1,000万円
従業員数 29名
Webサイト https://ns-cs.co.jp/
取材月 2025年2月

 


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