~物流を止めない~ PowerBuilderで実現する自動車整備業界のDX 株式会社滝川自工様事例
~物流を止めない~ PowerBuilderで実現する自動車整備業界のDX
業務効率化と顧客サービス向上への挑戦
北海道を拠点とする自動車整備工場、滝川自工は滝川グループに所属しており各種車両の点検、整備、販売、保険、リースなど、自動車に関する顧客のニーズに幅広く応える中でPowerBuilderを活用した業務効率化と顧客サービス向上を実現した。PowerBuilderでわずか2週間のうちに開発した業務アプリケーションにより、社内の情報共有や業務プロセスが大きく改善したという。滝川自工の業務効率化と顧客サービス向上に寄与するPowerBuilderのメリットや効果について、情報システム部・課長の町田真吾氏に話を伺った。
■北海道を支える自動車整備のプロフェッショナル
滝川自工は北海道札幌市に本社を構える自動車整備工場であり、各種車両及び建設機械の整備、販売、リース、各種運送、運搬、一般土木工事、除排雪など幅広い事業を展開している滝川グループに所属している。札幌の札幌工場と西工場、北広島の北広島工場の計3拠点に工場を構え、乗用車はもちろん、大型トラックや特殊作業車の点検、整備、販売、保険、リースなど、自動車に関する顧客のニーズに幅広く応えている。「物流を止めない」をモットーに社会貢献を企業理念として掲げており、日本で最も年間雪日数が多い北海道特有の厳しい気候条件下でも車両を維持し、地域の物流を支える重要な役割を担っている。
同社の強みは、長年培ってきた技術力と、最新のデジタル技術を融合させた総合的なサービス提供にある。自動車整備業界が直面する技術革新と人材不足の課題に対し、DXを推進することで、業務効率の向上と顧客満足度の増加を実現しているのだ。
~ 「物流を止めない」 滝川自工 ~
■業務効率化への課題と新システム開発の決断
「海外自動車メーカーとフルディーラー契約を締結し、販売台数を伸ばしていく中で、さまざまな課題が浮上しました。顧客データや車両情報、保証申請、診断データなどが社内に散在し、業務効率が低下したのです。さらに、海外自動車メーカーのポータルサイトから情報を得ようとしても、どこにどのような情報が掲載されているのかも分かりづらく、必要な情報にアクセスすることが困難でした」と町田氏は振り返る。
この状況は、日々の業務に大きな支障をきたし、従業員の残業時間の増加や、顧客対応の遅延などの問題を引き起こしていた。
これらの問題を解決するため、町田氏は各部署の社員へヒアリングを行い、現場のニーズを分析した。その結果、PowerBuilderを使用して新規業務アプリケーションを開発することが解決策になると判断し、実際に自ら計画、開発に取り掛かったのである。
「新規業務アプリケーションでは散在する情報を一元管理し、業務プロセスを効率化することを目標としました」と町田氏は語る。
■PowerBuilderで実現した迅速な業務アプリケーション開発
町田氏は、以前システム開発会社に勤務していた経歴を持つ。その開発経験からPowerBuilderの柔軟性と高い開発効率を熟知していたのだ。短期間での開発と将来の拡張性を考慮し、PowerBuilderを選択して業務アプリケーションの開発に着手した。
「PowerBuilderを使用し、まずは販売車両情報共有アプリケーションの初期バージョンをデータベースの設計も含め2週間で完成させました。社内で『SCツール』と名付けたこのアプリケーションのおかげで、複雑な海外メーカーのポータルサイトへのアクセスが簡素化され、必要な情報に素早くアクセスできるようになりました。さらに、顧客データ、車両情報、保証申請、診断データなどを一つのシステムで管理できるようになり、データの散在問題を解決しました」と町田氏は語る。
海外メーカーから情報を取得する作業は煩雑で属人化していたが、そのスタッフの異動にともない、業務の引き継ぎが必要になる。しかしSCツールを使えば、スタッフ全員が必要な情報にアクセスできるようになり、業務の属人化という課題も解決した。
~SCツール(販売車両情報共有アプリ)~
「SCツールは販売車両に関する情報を共有するためのアプリで、発注管理、納車記録、保証管理、メンテナンス管理、架装工程管理、データ分析など、各種情報を管理することができます」(町田氏)
「PowerBuilderの一番の特長はデータウィンドウ機能ですね。データをさまざまな形式で簡単にアプリケーション上に表現できるのでとても便利です。またSQL文を自動生成してくれる機能も助かります。帳票を簡単に生成することもできますし、組み込み関数の他に外部関数も幅広く利用することができるため、痒い所に手が届くアプリケーションを簡単に開発することができるところがPowerBuilderの魅力だと思います。マウス操作でボタンなどのオブジェクトを配置していくところなど、まるで絵を描くようなイメージで開発できていると感じることもあります。SCツールの2週間という開発期間については、PowerBuilderの生産性の高さだけでなく、日本コンピュータシステムのサポートの力も大きかったと思います。日本コンピュータシステムのサポートはとてもしっかりしていてレスポンスがよいですし、質問に対するYES/NOの回答だけでなく、別の実現方法もあるといったプラスアルファの提案もあるのでとても助かりました。こういったサポートがあったからこそSCツールの開発が成功に繋がったのだと思います」(町田氏)
SCツールの成功を受け、社内の情報管理を行うアプリケーション(TAツール)も追加で開発した。社員の資格管理、車の入庫予約管理、営業社員の車両管理、入出金管理など、多岐にわたる機能を実装している。さらに、基幹システムやクラウドサービスとのデータ連携も実現し、二重入力の手間を削減した。
「これらのツールは、PowerBuilderの特長であるデータウィンドウ機能を活用し、複雑なデータ処理や表示を効率的に行っています。またユーザーインターフェースはPowerBuilder 2019 R3のRibbonBar機能を用いて従業員が直感的、容易に操作できるように設計されており、アプリケーションの配布はPowerClient機能を用いてサーバーから自動配布、自動更新するようにして配布作業の省力化を実現しました」(町田氏)
~TAツール(社内情報管理アプリ)~
「TAツールは社内のさまざまな情報を管理するためのアプリで、社員資格管理、入庫予約管理、社有車管理、タイヤ在庫管理、入出金管理、各種帳票出力、基幹システム連携など、各種情報を管理することができます」(町田氏)
■データ一元管理がもたらした業務改善と顧客サービスの向上
「データの一元管理により、情報検索や共有にかかる時間が大幅に短縮され、業務効率が向上しました。例えば、基幹システムで1時間ほどかけて調べていた業務が1分もかからないまでに大幅に短縮されていますし、手書き作業をシステム化したことによって業務負担はそれまでの10分の1にまで削減されています。しかもそれだけではなく、TAツールの資格管理機能はメカニックのスキルアップの計画立案にも役立っています」(町田氏)
同社は、システム化により特定の個人に依存していた業務の標準化を実現した。ユーザーニーズに応える業務アプリケーションをPowerBuilderで開発したことで、負担となっていたアナログな作業が減りデジタルツールの活用が進むという、まさにDXの推進に貢献している。
さらに、これらの効率化により、顧客対応への時間をより多く取れるようになり、迅速な対応も可能になった。その結果、サービスの質も向上した。
「例えば、車両の入庫予約や整備状況をリアルタイムで確認できるようになり、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ正確な回答が可能になりました」(町田氏)
従業員の満足度も向上し、残業時間の削減や業務ストレスの軽減に繋がっている。さらに、データの可視化によって経営陣は業務の問題点や改善点を迅速に把握できるようになり、より戦略的な意思決定が可能となった。
このように、PowerBuilderを活用したシステム導入は滝川自工の業務全体を大きく改善し、競争力の強化にも寄与しているのだ。
■デジタル化の推進と人材育成で目指す未来
滝川自工では、PowerBuilder 2022 R3へのマイグレーションを計画している。グラフデザインの改善やWeb API連携機能の強化、ネイティブな電子メールサポートなどの新機能を活用し、さらなる業務効率化を目指している。
「日本コンピュータシステムのPowerBuilder Japan PortalにはPowerBuilderに関するさまざまな技術情報が掲載されているので、マイグレーションをするにあたって参考にしようと思っています。また自分で調べても分からないことや壁にぶつかるようなことがあれば、その際は日本コンピュータシステムのサポートの力をお借りしたいと思います」(町田氏)
今後はPowerBuilderの基礎知識を持つ人材を育成し、システムの持続可能性を高めることも検討しているという。
町田氏は、「情シス担当者の増員があればPowerBuilderの技術を習得してもらい、システムの継続的な改善と拡張を行っていきたい。日本コンピュータシステムのYouTubeチャンネルに初心者向けの教育動画コンテンツがあるので、そういったものも積極的に活用していきたい」と語る。
このような先進的な取り組みにより、滝川自工は自動車整備業界のデジタル化をリードし、より高度で効率的なサービスの提供を目指している。
滝川自工の事例は、自動車整備業界におけるDXの重要性を示す。デジタルツールを効果的に活用することで、業務効率化だけでなく、顧客サービスの向上、さらには社会インフラである物流の安定化にも貢献できることを実証している。PowerBuilderのような柔軟で開発効率の高いツールを活用することで、業界特有の課題に対応したカスタムソリューションを迅速に提供できることが、この事例の大きな学びと言えるだろう。
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